かえるのうた 11/10 蛙の歌、それは誰もが記憶の奥底に持っている古の童謡。しかしながら、昨今ではこれを歌う成人は絶滅してしまった。そう思っていた、誰もが。だが、そうではなかった。これを歌う人間が未だに存在していた。しかも輪唱(一人で)。 果たして、一人輪唱とは如何なるものか。そもそも、そんな高度な芸当が地球上の人間に可能なのか。このような疑問を抱かざるを得なくなった原因はカラオケに行ったことに端を発する。 そのとき我々はコード表のページをめくりつつ、そこにあったなんとも奇妙な表記に目がとまった。 かえるのうた 一人輪唱 ??????? この瞬間に前述した疑問の数々が湧き上ってきたのだった。 しかし、疑問がそれだけであったならば此処に書くに値しない。今までの疑問点なんぞミミズの糞未満にも思えるような圧倒的理解不可能な現象が我々の五感を凌駕した。 我々は実際にコードを入力してみた。曲が始まるのを今か今かと待ち焦がれた。そしていよいよ次がかえるのうただ。これで全ての謎が解けるはずだ。一人輪唱なるものの謎は全て明らかになるはずだ。そう我々は思った。 ディスプレイに現れた文字は次のようなものだった。
「このディスクは使用中です。」 この一言に我々は一瞬、呆然とした。 というよりも全ての理解力が一瞬にして無になった。 この後もディスプレイは使用中を連呼し続け遂に30分が経過した。何故かえるのうたが使用中なのか。そんなに人気のある歌なのか。 結局、謎は謎のままだ。 |